革のきもち

人間に気持ちがあるように、革にも気持ちがある、

とずっと思っていました。

 

ものごとには行きたい方向がある。

ずいぶん前に、スープの会で知られる、辰巳芳子さんの

記事を読んだことがあります。

それは、野菜にはそれぞれ行きたい方向があり、本来の持つ力で

健康が頼れる、という考え方です。力を発揮させてあげることが

本当の味を出してくれるので、じっと待ってそれを妨げないこと。

私はそれを、素材がわからなくなるような

味つけを施す必要はない、と解釈しています。

 

私のものづくりも、革の行きたい方向に沿って、

素材の持ち味をなくさないよう、柔らかい素材は

ソフトなものをつくるなどの考えで、すすめてきました。

 

ある日、革1枚のカタチを尊重したバッグを思いつきました。

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人間に身体的な違いがあるように、革にも個体差は存在します。

しかしながら、通常ひとつのバッグを仕上げる場合、

型紙にあてはめカットされてしまうため、どんな革も個体差は

まったく無視されてしまいます。そこで、革のきもちになって、

革の大きさそのままを使って、

型紙にあてはめないバッグをつくってみることにしました。

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クロコダイルパーティバッグは、革1枚を折りたたんで

両サイドを縫い合わせ、つくっています。

横幅も上部の左右も、革の大きさに依存しています。

もちろん、つくる度にサイズも雰囲気もバラバラです。

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サーモントートバッグは、サーモン革1枚1枚を縫い合わせ、

プレート状にしたシートを使って、トートバッグに仕上げています。

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バッグの上部は、革の上下の端をそのまま使っています。

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こちらのバッグも、つくる度にサイズも雰囲気もバラバラです。

出来上がったバッグを並べると違いはありますが、

それぞれ個性がしっかりと感じられ楽しめます。

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職人さんは、初めは戸惑っている様子でしたが、この頃は、

革なりでお願いします、という言い方で、

理解してくれています。

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「同じものが二つとない1点ものという感覚ね」

お客様は、そうおっしゃいます。

人も革も、個性をのばしてあげるとおもしろい、

そう感じます。

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