10月4日、ショップチャンネルさんに出演させていただきました。
つたない語りを聞いてくださった皆様に感謝いたします。
作成に時間のかかるイタリアンアート革を
手配するのに1年を要しますので、年に1回、この時期に
新作バッグを紹介させていただいています。
今年で4度目の出演となりましたが、全く慣れることが
ありません。
こんなことをお話ししたい、と思って臨んでも
半分も言えないまま終わってしまいます。
今年のキャストは篠田恵聖さんでした。
ご一緒させていただいたのは初めてでしたが、
まさにプロフェッショナルの素晴らしい方
でした。
私と会って話しをするのはオンエア1時間前です。
そこで、話しやすい雰囲気でいろいろな質問をいただき、
バッグの特徴の肝となるところを引き出して
くださり、キーワードをさっと書き出し
短時間のうちに1時間の番組構成を組んで
いかれます。
私にはとてもできない技です。
番組内では、バッグや革のことを楽しく説明していただき、
1時間があっという間に過ぎてしまいました。
私はたまに、
「プロフェッショナリズムとは何か」
という内容を書かれた雑誌を読み返します。
その中に、スペシャリストとの違いが書かれています。
スペシャリストは、いわゆる専門家で
その道に精通している人、ということがいえるようです。
それに対し、プロフェッショナルは、
もちろん専門家でもありますが、顧客に関する
深い洞察力と理解があり、正しい答えがなくとも
いろいろな状況を想定して、正しい対処ができること
とあります。
プロフェッショナルに近づきたい、
と思いながら何度も読み返すのですが、
キャストの篠田さんはまさにプロフェッショナル。
素晴らしい方とご一緒することが
できたことをうれしく思いました。
そんな篠田さんから、番組が終わってからも、
楽しかったです、とうれしい声をかけていただき、
人間性の素晴らしさにも感激しました。
私はこれから、来年に向けての新作づくりを
はじめます。新たな気持ちで自分の分野を
つきつめたいと思います。
好きなものに囲まれていたい、という思いを強くもっていますので、
何かを購入する際にはこだわりを持って選びます。
すぐに飽きてしまわないこと、
永く一緒にいたいと思えること、
自分らしさを感じられること、
などが基準です。
気に入っているものは、見ているだけでうれしくなり、
使うことで愛着がわいて、自然と取り扱いも丁寧に
なりますので、気がつくと永いお付合いに
なっています。
母から譲り受けたコートは、40年近く活躍してくれていて、
今も私のお気に入りです。
殆ど袖を通すことのない着物は、年に数回干してあげる
機会にしか見ることはありませんが、見る度に
気分が高揚し、一日が楽しくなります。
いつも使うもの、普段使うことのないもの、
いずれからもいろいろなことをもらえ、
心を豊かにしてくれます。
数えたことはありませんが、これまで
たくさんのバッグをつくってきました。
思いを込めてつくったバッグがお客様の元にいき、
その後気に入っていただけているか、
とても気になります。
時折、お客様とお会いする際や修理を承って、
以前つくったバッグと出会うことがありますが、
気に入ってくださっていることをお聞きすると、
安堵の気持ちとともに、本当にうれしくなります。
「素材は使ってあげることで、よりよく変化してくれるので、
新しいバッグよりもいい感じに育ってきたでしょう?」
「使ったらきれいに形を整えて、いつもの定位置において、
毎日は使わないで休ませてあげると、形がキープできるのよ。」
などなど、私よりもお客様の方がご存知なので、
いろいろ勉強させていただいています。
これから先も永いお付合いができますよう、
いつ見てもよい、と思って
いただけるものづくりを目指したいと思います。